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2023/02/13

おはようございます、カラビナ代表の峯岸です。最近は突然の大雪が降り積もったり、急に春の陽気でアウターが不要だったりと、気候も不安定で体調管理も難しい季節ですが、なにより自分が嫌なのは車を洗車するタイミングが難しすぎて辛い季節なことです。晴れた日って、やっぱり綺麗な車でドライブしたいじゃないですか。でも、洗って、夜に雪が降って、朝ビチャビチャな道を走って、帰宅時の夕方には晴れるみたいな。。速攻で綺麗な状態が終わると、さすがに心が折れます。

 

さて今日はデザインリテラシー(design Literacy)について考えてみたいと思います。リテラシー( Literacy)とは理解、解釈して活用することや、読み書き能力や知識のことを指しています。経済産業省が『「デザイン経営」宣⾔』を掲げてから4・5年が経過しますが、その役割と効果といえば、「ブランド力向上+イノベーション力向上=企業競争力の向上を目指す」というものでした。私たちカラビナは様々な規模業種のクライアント様を対象にインナーブランディングを意識しながら、企業・サービス・製品に関するアウターブランディングを担当させていただいき、様々な形でコミュニケーションツールのデザインをご依頼いただいておりますが、サービスを提供させていただく中で、やはりクライアント様がデザインを本気で取り扱おうと思っていただいているか、というところに帰着します。

 

デザインの必要性を強く感じてオファーをいただいても、扱い方を意識して理解を深めていくことを同時に行わないと、行動がそれと真逆だったりが実際によくあります。そもそもの共有認識と理解を促すためにも今回の考察テーマである「デザインリテラシー」の向上こそが、なによりも重要なのかなと感じます。どうやったらわかりやすくデザインリテラシーの重要性を説明できるか、そのことを最近ずっと考えていまして、一旦このライフログで吐き出してみることで、頭の中を整理できたらなと思っています。

 

デザインを取り扱うことについて、俯瞰的に「つくる側」と「つかう側」の視点で考える場合、「クオリティ管理」に言及すれば、このどちらかが優位という話ではなくなってきます。ブランディングの観点では色々なシチュエーションがある中で、臨機応変にブラッシュアップして、不特定多数の人間が価値と理解を適正標準化していく必要があります。しかし、基本となる軸や世界観が統一されていないと統一性を失ってしまうため、誤った認識や取り扱いを未然に防ぐ目的でマニュアルやガイドラインを用いながら、規定やルールをしっかりと設けていくことが必要になります。

 

しかしこの基準づくりには終わりはなく、ブランドが続いていく間は未来永劫毎日、上書きされていくものであり、決して固定概念ではないことをまず理解しておかなくてはなりません。100%正しいか、今はわからないけど、拠り所にするためのものさしとしての役割を、CI(corporate identity/コーポレート・アイデンティティ)・VI(visual identity/ヴィジュアル・アイデンティティ)に付帯するガイドラインが担います。まるで生き物のようなブランド価値をより良く成長させていくために必要なことを突き詰めると、やはりお互いをリスペクトしあいながら、コミュニケーションを密にとることが大切なのではないかと考えています。例えば、あるデザインを運用する際に、「つかう側」が第三者との関係性を優先するなど忖度が含まれてしまった案件の場合、重要な判断の分岐で「つくる側」に確認・相談をしないケースが発生しやすくなります。「もう進めているので」とか「いまから大幅な変更は難しい」といった一方的な都合や事情が起こるケースがそれです。あっという間にデザインのルールが一方的に無視され、無意識に悪気なくブランド価値を理解しきれずに扱うしかないオペレーターと、政治的な力関係によって価値を破綻していくことになります。一見そんなことある?と思いがちですが、実際にそのようなケースが山のようにあるのも事実ですし、私自身も経験しています。そんな悲しい思いをされているデザイナーさんたちも大勢いるはずです。

 

せっかく費用もかけて作り上げてきた価値を、自ら断ち壊してしまうほど悲しいことはありません。たとえば費用面でブランドマニュアルまで作れないような案件があったとします。有事になる前のプロセスにおいて「つかう側」は、なにかしら「つくる側」に伝えづらい問題要因が発生しているはずです。当たり前のように事実に触れるタイミングが後に回された「つくる側」には「なぜ事前に、その時どきで相談してくれなかったのだろう?」という疑問が生じます。もちろん相談があったときに「つくる側」がしっかり考えて応えない場合は逆も然りです。

 

「つくらせていただいた責任」と「つかわせていただく責任」。そこにいつでも相手を思いやる気配りと共有意識があれば大抵は柔軟に努め問題は未然に防げると思うのです。状況を理解してほしい、というのは、密なコミュニケーションが蓄積された価値の上に生まれるものであり、事後報告や主観で進めて仕舞えばお互いに不幸になるばかりです。難しく捉えがちなデザイン経営や運用ですが、自分が好きな恋人や家族だったり、大切な人を想う気持ちに置き換えてみればわかりやすくなるかと思います。それがデザインリテラシーに最も必要不可欠な要素なのかもしれません。

 

ですので、そういった関係性をいつでも意識して構築できるように、自身も丁寧にクライアントと時間をかけて理解し合い、成長ていきたいと思うのでした。いつもより少し真面目?な話ですが、デザインに関係している方で、同じような悩みを感じていたりする方の参考になればと思います。